田舎の実力者!?将来の野望のための我慢とは

田舎で始めた商売


私は、北海道のある町に住んでいる36歳既婚の男です。私の住んでいる町の人口は9000人程、こういった小さな町は、とにかく閉鎖的です。
何をするにも町の実力者の許可が必要で、町の中の商店や産業を守ろうとして、全国チェーンの飲食店やスーパー等、新しいものは一切受け入れない風潮が強く、結果的に町から人がドンドン出て行くので、若い人が減り、高齢者ばかりの町になってしまいます。
私の家も代々地主で、この町では実力者と呼ばれる家系で育ちました。私自身はそんなことなどどうでもよく、何とかこの町に活気が取り戻せないかと日々考えておりました。
ある時、この町でパン屋を始めようと決意します。この町の特産品である「ホタテ」を使ったパンを全国に知らしめるべく活動していこうと思ったのでした。家系的に資金と土地と人脈はありましたので、店の場所もすぐに決まり、必要な設備も揃え、お店をオープンしたのです。
従業員はまだ雇う状況ではありませんでしたので、家族で運営していくことにしました。私には嫁と両親と弟がおりますが、父は別の仕事をしていたので、母と嫁と弟と私の4人で運営することになりました。弟は、焼き場で一生懸命パンを焼いてくれたり、新しいパンを開発してくれたりしています。母は店頭にパンを並べたり、接客したりしてくれます。しかし、問題は嫁です。どうしてこうなんでしょうか・・・

 

嫁の正体


実は、私の嫁とはお見合い結婚でした。閉鎖的な町ですから出会いも多くはなく、今時お見合いなんてと思われるかもしれませんが、この町では割と普通のことでした。ただ、私の場合、個人の意思と言うよりは、政略結婚でした。嫁の家系も地主で、両家の親同士が家系の利益のために、私と嫁の意思を無視して結婚させたのです。最初は嫌でしたが、これで地主同士のトラブルや争いごとは無くなると思ったので、両親が喜んでくれるならと思い、親孝行のつもりで結婚することにしました。
嫁のことは、ほとんど何も知らない状態でしたので、その実態には驚きでした。
嫁は何事にも全く無関心で、テレビでお笑い番組を観ていても笑うことはありません。しかし、私が嫁の近くで掃除機を使おうものなら、凄い形相で睨みつけてくるのです。眉間にシワを寄せ、上目遣いのその顔は、「うるせえんだよ!」と言いながら迫ってくる般若の面の様です。私は恐怖心を覚えながらも「お前がやらないからだろ!」と心の中では言っているのですが、声には出せません。気迫を感じて、毎日ビクビクしながら生活する事になってしまいました。
しかも嫁は、今まで甘やかされて育てられたせいか、家事すらまともに出来ない上、愛想も無いので知人や友人に会っても挨拶さえしないのです。私の友人からは、「お前の嫁さん大丈夫か?」と言われる始末。とても恥ずかしい気持ちになってしまうので、あまり人に会わせないようにしていました。当然、お店の手伝いもしてくれませんので、何の役にも立ちません。
とても困った嫁ですが、どうする事も出来ないので、自分のことは全て自分でするようにしていたのでした。

 

私の作戦


そんな嫁でしたので、もちろん子供を作る気はありません。家でなるべく一緒にいない様にするためにどうしようかと考えた結果、お店に移動販売車を導入することにしました。朝早くにパンを焼き、それを車に積んで、北海道内の各地に赴いて1日中販売する。時には2日に渡って販売を行うことで、家にいる時間を減らしていきました。でも、さすがに移動販売ばかりも大変なので、本州の都市にあるデパート等で行われる「北海道物産展」や、北海道内各地で行われる催事等にも出店し、1週間程出張することも増やしていったのです。お陰で特産品を使ったパンは好評で、売上も右肩上がりで伸ばしていったのでした。

 

これからどうする?


好きでもない相手と結婚させられてしまったので、私の人生、先が思いやられます。いくら親孝行のためとは言え、自分の人生です。生まれた環境を恨みつつも、とりあえずは今出来る事をやっていこうと思っています。
この先考えている将来は2つあって、1つは、「両家の両親が老衰するまで現状維持」。
これは時間がかかりますが、将来的に私が町の実力者となり、自分の思うように町自体を作り直し、今の時代にあった政策を掲げて若い人を取り込み、町の活性化を図る道。ただ、嫁とはしばらく一緒にいなければなりません。
もう1つは、「新天地で活動する事」。
これは、故郷との決別を意味しますが、今の活動の中で新しい人脈を広げて、全てをリセットし、全く違う視点で自分の人生を切り開いていこうという道。こっちに決めたら、すぐに嫁と別れます。
今は、本当に好きになった人と将来を歩んでいきたいという気持ちがあるのですが、町の実力者としての野望も捨てきれません。今の嫁には不満が多く、とても一緒にいたいとは思えないのですが、もしかして、将来覚醒していい嫁に変わってくれたら・・・ちょっとだけ考えてしまいます。

mon著

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