「俺たち別れよう」
え、なんで?
待って?
・・・・・・・・・
目が覚めるといつものベットの上。
「夢か。」
Nさんにはどうしても忘れられない元カレがいた。
<再会>

いつものカフェでコーヒーを買い、足早にオフィスへと向かう。
「よし。今日も一日頑張ろ。」
今日見てしまった夢の余韻をかき消すように気合を入れてエレベーターホールへと向かった。
エレベーターの扉が開き担当のデスクへ向かおうとドアを開けた時、そこに居たのは・・・
「え、R!?」
突然目の前に現れた彼。
海外赴任していたはずの彼。
「え!?なんで!?」
「N。久しぶり。昨日帰ってきた。元気だったか。」
「ひ、久しぶり。元気だったよ。」
「よかった。デスクにお土産置いてあるから、食べて。」
「ありがとう。」
別れてから2年半、連絡を取ることもなく自分の中でも記憶から薄れていると感じていた。
そのはずなのに、一目合った瞬間、2年半前に一気に引き戻される。
この気持ち、どうしたらいいの。
Nさんは自分の気持ちに戸惑っていた。
<行き場のない気持ち>

今日はRが海外赴任から戻ってきた歓迎会。
気まずさもあり複雑な気持ちから、行きたくないような気もするけれど、行かないのも角が立つ。
幹事が用意してくれた居酒屋へ集まり、歓迎会は始まった。
「乾杯〜!おかえり〜!」
Rとは離れた席で特に直接話すこともなく会は進んでいった。
Nさんは気を紛らわせるように他の同僚と他愛のない話をして時間を過ごした。
「2次会行く人ー?」
Rは「ホントごめんなさい。明日朝から挨拶回りあるんで今日は帰ります!みんな今日は本当にありがとう!」
と言い、苦笑い。
「えぇー残念。じゃあ主役居ないけど行く人ー?笑」
会は盛り上がり続ける。
(なんか疲れた。私は帰ろ。。。)
Nさんはさり気なく輪から抜けてタクシー乗り場へと向かう中、後ろから声を掛けられた。
「N。二人で飲まない?」
「R??う、うん。」
複雑な気持ちの中、二人は近くのBARへと向かった。
<あの時の気持ち>

カウンターに並んで二人並ぶ。
聞きたいことはいっぱいある。
でも何から話せばいいのか。
Nさんの頭の中はぐるぐると巡っていた。
強めのお酒を注文して、バーテンダーがお酒を作ってるのをじっと見ながら。
沈黙の時間が流れる。
お酒が来て、一口飲むとRが口を開いた。
「どう?仕事は順調?」
「うん。なんとかね。今度プロジェクトリーダーを任せてもらえることになったよ。
「すごいじゃん。2年半、Nも頑張ってたんだな。」
「うん。まあね。あのときは仕事に打ち込むしかなかったし。」
Nさんは苦笑いしながら答えた。
「俺もだよ。」
「彼氏は?」
「居ないよ。」
「そっか。」
「あの時の事なんだけど・・・」
Rが続けて話す。
「あの時、海外赴任が決まって、ずっと大きい仕事したかったし本当に嬉しかった。でもそれをNと付き合ったまま伝えたら絶対Nも着いていくって言わせてしまうと思ったし、日本に一人残したとしても寂しい思いをさせてしまうと思った。あの時、Nも大事な仕事任されてたし、邪魔したくなかったんだ。Nのことを本当に大切に思ってたことに嘘はなかったんだ。」
「なにそれ。今更そんな事伝えてくるの本当にずるいと思う。あの時ちゃんと話して欲しかった。私もRが大切だったよ。」
・・・・・・
二人はそれ以上踏み込んだ話をせずBARを後にした。
<変わらない気持ち>

あの飲み会の後、特に踏み込んだ会話もすることなく、事務的なやり取りのみで時間は過ぎていった。
ある日、体調を崩し、仕事を休んでしまった。
上司は「ちょっと忙しくさせ過ぎたな。ゆっくり休んでしっかり治せ。」と言ってくれ、家で寝込んでいた。
ピンポーン
インターホンが鳴った。
体調も悪く居留守を使った。
ピンポーン ピンポーン
何度も鳴るインターホン。
「誰?」
カメラを見ると映って居たのはRだった。
「はい。」
「N。大丈夫か。ちょっと開けて。」
「うん。」
ドアを開けると、Rがたくさんの差し入れを持って心配そうな顔で立っている。
「お見舞い?ありがとう。」
「おう。大丈夫か?みんなも心配してたよ。」
「うん、だいぶ良くなった。もうすぐ復帰できそう。みんなにも迷惑かけてごめん。」
「しっかり治して復帰しな。仕事はみんなでどうにかするから。」
「ありがとう。」
「それで、こんな時に言うのも何なんだけど・・・でも正直に思ってることをちゃんと伝えたくて。俺にはやっぱりNが必要。海外赴任してたときもずっと考えてて、一瞬たりとも忘れたことはなかった。もう一度そばに居てほしい。結婚を前提に付き合ってください。」
「・・・・・・・・・・・私もずっとRを思ってたよ。ずっと大切だった。だからこそあの時みたいにちゃんと話さず居なくなったりもうしないで。全部ちゃんと話してほしい。もう一度そばに居させてください。」
「うん。つらい思いさせてごめん。これからはもうしないから。たくさん良い時間を積み重ねていこう。」
二人の時間はまた動きだした。
e625著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回の作品は、職場での彼との再会までの物語です。
ある日、忘れられない元カレとの別れの夢で目覚めたN。
悪い夢をかき消すようにコーヒー片手にオフィスへ向かう彼女は、なんとエレベーターホールでその元カレRと再会。
二年半前に別れたRは、海外赴任から戻ってきていたのでした。
Rの歓迎会は気まずい気持ちを押し殺し、なんとか他の同僚と時間を過ごします。
しかし二次会を断ったNは、同じく二次会を断ったRに誘われ、2人きりでBARに行くことになったのです。
BARではRに別れ際に思っていたことを打ち明けられ、Nも同じようにRのことを思っていたことを明かします。
ある時Nは体調不良で仕事を休み、心配したRが家を訪ねてきました。
そこでお互いに思い合う気持ちを再び確認し合い、2人の時間は動き出したのです。
男女が過去に別れた経緯、そして再会し再び結ばれるまでの物語が感情豊かに表現されています。
冒頭の目覚めのシーンはとても印象的で、後に再会する彼への思いが強調される形になっており読者に共感を与えます。
お互いに大切に思うからこその言動と葛藤はとてもリアルで、惹きこまれるような物語に仕上がっています。
検収者 kitsuneko22
⑭kitsuneko22-10