箱庭で始まり箱庭で完結した恋

「はじめに」
”学校”で繰り広げられる恋は、刹那的で、甘酸っぱいという表現がぴったりです。
 
みなさんは学生の時、恋をした経験はありますか?
「友達のを聞くだけでした! 」そんな方もいらっしゃるかもしれませんし、
「学生の時の恋人と結ばれたよ!」なんて方も中にはいらっしゃるかもしれません。
 
私は学生の頃、恋をしました。ただし片思いのみ。
それも、学年が変わるたびに恋の相手が変わるほどの浅さですが。
 
その中で唯一今でも思い出してしまうぐらい、
かけがえのない思い出を体に刻みこんでくれた一人の話を聞いてください。
 
 
「ふたりのであい」
高校生活最初のクラス。
心臓が破れそうなぐらいどきどきしていたときに、話しかけてくれたのがその人でした。
 
本当にうれしくて、すぐ連絡先を交換しました。
当時はSNSがほとんど普及しておらず、メールと電話で連絡を取り合いました。
 
そして程なくして、クラス内で共通の友人が二人できました。
4人は本当に仲が良くて、みんなでカラオケに何度も行ったり宿題と闘ったりして、基本ずっと一緒に行動をしていました。
みんながいたおかげで、私はごくごく普通の学生生活を楽しむことができました。
 
そんな時間を重ね、より仲が深まった結果、二人きりで遊ぶことも増えました。
入学して数ヶ月経ち、何度遊んだか数えきれないほどになったとき、
 
突然「好きです。付き合ってください」と、電話で伝えられました。
 
青天の霹靂でした。
 
 
「いちばんしあわせなじかん」
女学生特有の”友達が一番”の思考が、私たちの関係を公にすることを嫌がりました。
仲良しグループ、だからこそ「二人のほうがいいよね」と、気をつかわせてしまうかもしれません。
もし別れたときのことも考えました。そうなったとき、グループ内の関係がこじれてしまったら大変です。
 
隠してはいましたが、私たちが仲が良いのは周知の事実。
それが功を奏し、学校にいる時はいつも一緒にいることができました。
一緒にお昼を食べたり、食堂で勉強したり。傍から見たら普通の仲良しペアです。
なにも怪しまれることがなく、平和に淡々と、二人だけの秘密を作り、二人の関係を進めました。
 
「この人とはずっと一緒にいられるかもなぁ」
「永遠が、あるかもしれない。いや、あってほしい。」
二人で一緒にいる時はいつもこんなことが頭に浮かびました。きっと浮かれていたんだと思います。
 
そうしているうちに、あっという間に1年が過ぎようとしていました。
 
「ふたりのげんざい」
当時の学校は成績順でクラスが分けられ、学年が上がるごとにメンバーが再編成される仕組みでした。
恋人は私より勉強ができます。そのため進級してクラス替えをしてしまったら自分と離れることは確実。
 
学生生活は長かったですが、あれほどに学期末が近づくのを嫌がったことはありません。
そしてクラス内で始まる「誰が上のクラスにあがるか論争」
もちろん、恋人は予想メンバーに組み込まれていました。
 
このことはかなり願いましたが、願いはかなわず恋人は上のクラスに進級しました。
私は現状維持。勉強は嫌いなので自業自得の結果です。
 
クラスが離れてからは、逢う機会、話す機会がどんどん減りました。
それでも、時々放課後に待ち合わせてデートを重ねるなどして、順調に楽しく二人の時間を作っていました。
 
 
時が流れ、卒業という節目は二人の道を別々にしました。
 
1年に満たない交際期間でした。
それでもたくさん仲良く楽しく過ごしたからこそ、楽しかった思い出だけが唯一心に残りました。
 
今は相手の連絡先さえ知りません。元気かどうかを知る術がありません。
私が最後にその人のことを見たのは、共通の友人のSNSの投稿内でした。
 
今までの時間が嘘のように距離が離れました。
 
「学校生活の恋なんてそんなもん」「限りがあるからこそ尊く見えるんだよ」
そういう言葉で片付けられてしまう恋に見えるかもしれません。
ですが、当事者からすると、当時はそんな言葉を吹き飛ばすほどの熱量で、身を焦がすように恋をしていました。
 
大事な気持ちは、気づいたら零れ落ちてしまいます。
そして、それは落ちた後に気づきます。
 
みなさんには、大切にしたい気持ちはありますか?
 

に499著

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回は、学生時代に経験した恋愛のお話を書いていただきました。

    高校最初のクラスで緊張しているところを話しかけてくれた彼。連絡先を交換し、ほどなくして共通の友人2人も合わせた4人のグループで学生生活を過ごしていました。
    数か月後、彼から電話で告白され、友人には関係を秘密にして2人の時間を過ごしていました。
    成績順でクラス分けがされる高校で、彼と別のクラスになってしまった彼女。
    会う機会が減っていましたが、時々待ち合わせてデートをするなど、順調に2人の時間を作っていました。
    しかし高校卒業を機に2人の交際は終わり、楽しい思い出だけが心に残り続けました。

    学生時代の目まぐるしく変化する生活の中では、恋愛も同じく一瞬に感じることが分かります。
    その時は熱心だったとしても、時間が経つとすっかり熱も冷めていることは、多くの人が経験しているでしょう。
    学生ならではの、甘酸っぱい青春の恋愛物語を上手く表現していただきました。

    検収者 kitsuneko22

    ⑥kitsuneko22-10

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