彼女の名前はようこ。
小柄でおとなしい女の子だった。
彼は欲しいと思うのだけど、いつも片思いで終わってしまう。
ようこは親の影響があってかプロ野球が好きだ。
根っからの野球好きだった。
そしてようこはプロ野球の雑誌を買い始める。
出会い

プロ野球の雑誌を毎月定期購入したようこは好きな選手のところや、
読者ページを読んでいた。
「プロ野球が好きな人とお友達になれたらいいなぁ」
ようこはそんな淡い願望を描いていた。
そしてようこは思いきって読者ページのお友達募集中コーナーに応募してみた。
「載るといいなぁ」
ようこは載るであろうプロ野球雑誌の号の発売を待ちわびていた。
そのプロ野球雑誌が発売され、ようこは緊張した気持ちで読者ページのお友達募集中コーナーを見た。
「載ってる!」
嬉しい気持ちと、ちょっと照れくさいような気持ちが入り混じっていた。
「どんな人から来るのかな。たくさん来るといいなぁ」
雑誌が発売されてから2~3日後くらいからようこ宛てに日に2~3通の割合で手紙が届くようになった。
すべてプロ野球雑誌のお友達募集中コーナーを見ての手紙だった。
しかもほぼ男性からだった。
ようこは正直びっくりしたが、彼が欲しいと思っていたのでお友達から始めようと決めた。
何十通もある手紙を一通一通ていねいに読んでいった。
「誰がいいのかなぁ」
ようこは何人かの男性と会ったり、文通してみたが長続きはしなかった。
「またダメかな」
ふと諦めかけたとき、クリーム色の手紙を目にした。
封をあけて読んでみると、とてもていねいな文章で自己紹介がしてあった。
7歳年上の男性だった。
返事を書き出してみると、すぐに返事が来た。
またクリーム色の手紙だった。
ようこはその人に会ってみることにした。
その人は目が悪いのか度の強いメガネをかけていたがおとなしそうな人だった。
それから毎晩のようにその人から電話がかかってくるようになった。
同じプロ野球ファンてこともあってか、話はいつも長くなった。
そしてある日
「ようこさん、結婚を前提に付き合ってください。」
ようこは交際を申し込まれた。
「はい、お願いします。」
ようこはすぐに返事をした。
毎週のように二人はデートをした。
ようこにとっては幸せな時間だった。
結婚もとんとん拍子に話がすすみ、交際スタートから約1年後に挙式をあげた。
ようこは彼の家族のもとへ一緒に暮らすようになった。
誰もが、もちろんようこも幸せに結婚生活を送れると思っていた。
夢と現実

しかし現実は厳しかった。
土曜日の夜の彼の帰宅時間はいつも夜中だった。
「一体何をしているの?」
そんな状態のまま結婚して1年経っても2年経っても子供ができない。
当然原因はよそから来たようこにあると思われた。
「検査に行きなさい」
義父に言われ、渋々病院へ行って検査を受けた。
ようこには異常がなかった。
「異常があるのは彼の方!?」
ようこが彼に不信感を抱くようになってから彼は家出を始めた。
「何で?私を置いて」
ようこは一生懸命探して見つけたが、彼はすぐ家出をしてしまう。
傷心のようこに家族の中で唯一味方だった義母にスポーツをすすめられた。
毎週土曜日の夜、ようこは寂しい気持ちを忘れるかのようにスポーツを楽しんだ。
でも家に帰ればひとりぼっちなのは変わらなかった。
そしてようこはスポーツをやっている最中に、右肩を脱臼する大けがをしてしまう。
幸いすぐにはずれた右肩ははまったが、心の傷はいえなかった。
「彼はいないのに」
ようこのうっぷんはどんどんたまっていった。
家出の原因がまったくわからないまま、家出は繰り返すだけだった。
「どうして私がこんな目に合わなくちゃいけないの!?」
またいつものように彼は見つかり、家に連れ戻された。
何度も何度も家出を繰り返されているので、彼の妹たちも呼び出された。
決心

先に彼とようこだけ部屋に残された。
口を開いたのはようこが先だった。
「何で私を置いていくの?」
ようこの問いの彼の答えにようこは愕然とした。
「右肩けがして荷物持てんようなやつは連れていけん」
ようこの彼に対する愛情は一気に冷め、もうこの人はダメだと確信した。
妹たちが部屋に入り、今後どうするかの問いにようこはハッキリと答えた。
「愛情のない人には私はついて行く気ありません!」
そう言ってようこは部屋を出た。
荷物をまとめ、約7年苦しめられた家を出た。
その後、ようこは実家に帰り彼と離婚した。
ようこは一度目の結婚では子宝に恵まれなかったが、再婚して二人の子宝に恵まれた。
一度はあきらめた母親だったが、二度目の結婚で母親になれてよかったとようこは今も思っている。
kdghsrion著

コメント
コメント一覧 (2件)
pr
きくえもん27さん
3記事目の投稿をして頂きまして有難うございます。
それでは早速検収をさせて頂きます。
今回の作品は、好きな雑誌に投稿をしたことで男性と知り合うことが出来た女性が、結婚後にその男性の思わぬ不誠実に悩まされる姿を作品にして頂きました。
大人しい彼女は、何かと片思いで終わってしまい男性と仲良くする機会がありません。
そんな彼女でも親の影響でプロ野球は大好きです。
しかもプロ野球の雑誌を定期購読するほど興味が尽きません。
ある時その雑誌のお友達募集コーナーを見つけて早速応募して見ることにしました。
暫くすると彼女の記事を見た色んな男性からお手紙がくるようになります。
恋人が欲しいと思って居た彼女ですが、思わぬ反響に驚くのですが嬉しくもあります。
そこで丁寧に一人一人に返事を送ることで、上手くお付合いする事になります。
それでも知り合って長続きする男性は出来ませんでした。
そんな時クリーム色の気になる手紙を送ってきた事が切っ掛けで彼とデートを繰り返し恋愛が進展していきます。
彼女にとって彼とは相性が良かったのでしょうか、約1年後には結婚して彼の家族と一緒に暮らすようになっていました。
幸せな結婚生活を夢抱いていた彼女でしたが、なかなか子宝に恵まれ無い中で、ご主人はその不安定な性格に加え家出までしてしまいます。
そして7年過ごした彼と彼の家族にお別れすることを決断します。
今回の記事も全体の構成力が良いので分かり易い内容となっています。
そんな彼女も再婚して二人の子供を授かります。
苦難を乗り越えた末に得た幸せが上手く表現されています。
有り難う御座いました。
それでは今回の検収をこれにて完了と致します。
次回の投稿記事も楽しみにお待ち致します。
井上保夫