姉の出会いと妹の複雑な気持ち

姉の名前はえり子、妹の名前はゆみこと言った。

二人は3歳違いの姉妹だが、決して仲は良くなかった。

えり子は積極的なのに対してゆみこは消極的だった。

そしてえり子が高校生になってからのことだった。

目次

出会い

えり子は同級生と付き合い始めた。

ゆみこは最初は知らなかったが薄々感じ始めていた。

「お姉ちゃん付き合っている人いるの?」

とは聞けないでいたゆみこだった。

中学生のゆみこは好きな人はできてもいつも片思いで終わっていた。

「私も付き合える人ができるのかな」

そうおもいつつも消極的なゆみこにはなかなか難しいことだった。

バレンタインデーでも嬉しそうにチョコレートを作っていたえり子。

せっせとセーターやマフラーを編んでいたえり子。

そんな姿をいつも見ていたゆみこ。

「お姉ちゃん幸せそうだなぁ」

ゆみこにとっては幸せそうなえり子を見届けるしかなかった。

そしてえり子は高校を卒業し、社会人となった。

ゆみこはえり子と同じ高校に入学した。

ゆみこはえり子と同級生との付き合いが続きいずれは結婚すると思っていた。

しかしそれは儚い夢となって消えてしまった

亀裂

えり子は高校の同級生と別れてしまったのだ。

それはえり子に新しい男性が現れ付き合い始めたからだ。

どうやら同じ職場の人のようだった。

しかもえり子とは13歳の年の差だった。

バツイチで元奥さんとの間には4人子供がいるという。

ゆみこはショックを受けた。

「何でそんな人と付き合っているの?!」

ゆみこの思いはえり子に届くわけでもなく付き合いは続いた。

当然両親の耳にも入った。

えり子の職場はえり子、ゆみこの父親の職場でもあったからだ。

付き合うことに両親の猛反対を受けるえり子。

両親が猛反対したのはえり子の相手がバツイチで養育費を払わなければならなかったことで当然生活が苦しくなるのが目に見えていたからだ。

それに対して猛反発するえり子。

「何でこうなるの?」

毎晩のように起こる両親とえり子の言い争いにゆみこは耐えるしかなかった。

「お姉ちゃんが同級生の人と付き合っていればこんなことにならなかったのに」

今更だがゆみこはそう思っていた。

ある日のこと、日曜日にゆみこはえり子に誘われた。

「一緒に出かけない?」

誘うなんて滅多にないのでゆみこは不信に思った。

一緒に出かけてみると付き合っている人との顔合わせだった。

「はめられた」

ゆみこはそう思った。

えり子の付き合っている人へのゆみこの印象はあまりよくなかった。

えり子の社内恋愛で部署内の評判が悪くなり、えり子は別の部署に移動させられてしまった。

それでもえり子の付き合いは終わらなかった。

毎晩のケンカは絶え間なく続いていた。

「もういい!こんな家出ていってやる!」

えり子のその言葉にゆみこはとうとう我慢できなくなった。

出ていこうとするえり子にゆみこは

「あんたなんかお姉ちゃんじゃない!」

泣きながら叫んだ。

えり子はゆみこの叫び声を後ろに付き合っている人のところへ行った。

結婚へ

えり子は付き合っている人とかけおち同然で一緒に暮らし始めた。

えり子のした行動で同じ職場にいた父親の出世にも影響が出てしまった。

ゆみこはえり子がしたことをなかなか認められないでいた。

「何で普通に結婚できなかったのかな」

ゆみこはえり子の花嫁姿が見たかった。

両親もきっとそうだったに違いない。

悶々とした気持ちのままゆみこは高校を卒業した。

計らい

ゆみこが社会人になりえり子が家を出て4年ほど経った頃だった。

ゆみこはひとつの計画を立てた。

ちょうどその頃えり子のお腹の中には新しい命が宿っていることがわかった時だった。

これから産まれる子供のためにゆみこはえり子の花嫁姿を撮影しようと考えたのだった。

えり子とえり子の夫はこの計画をとても喜んだ。

撮影の日、父親の姿はなかった。

しかし嬉しそうな母親を見て撮影をしてよかったとゆみこは思った。

ゆみこは自分が考えた計画に後悔はなかった。

数か月後えり子は女の子を出産した。

初孫だったためかさすがに父親の顔も緩んでいた。

それから数十年えり子は幸せに暮らしている。

子供も女の子の後に男の子が産まれ、二人共社会人となっている。

ゆみこが後から知った話だが、えり子が家を出たあとしばらくしてから父親の銀行口座に200万えり子から振り込まれたという。

その話は父親が亡くなってさほど経っていないときに母親から聞かされた。

父親はその200万に手を出さずに数十年も残していたのだ。

えり子ははせめてものお詫びにと思い、200万振り込んだようだった。

200万は父親の遺言でえり子に返金された。

ゆみこは家族の絆を強く感じた。

 

klpspovo著

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • きくえもん27さん

    初めての投稿記事を作成して頂きまして有難うございます。

    それでは早速検収をさせて頂きます。

    今回の作品は、3歳違いの姉妹が織りなす認めて貰えない恋愛について記事にして頂きました。

    作品全体は淡々として気持ちを抑えながら読者に分かり易い文章表現となってきくえもん27さんの魅力が生きています。

    姉のえり子は、妹より3歳上で何事も積極的な性格です。

    そんな姉が高校生の時に同級生と付き合っていることに妹としては憧れを抱きます。

    社会人となった姉が恋人だった同級生を振って職場のバツイチ子持ちの男性と付き会います。

    姉に抱いていた憧れが驚きへと変わり、姉は両親や周囲の猛反対を受けることになります。

    大人しい妹も家出をする姉の後姿に「あんたなんかお姉ちゃんじゃない!」と泣きながら叫びます。

    恋する女性の何者をも恐れない姿と、彼女を批判する事せか出来ない人々を見事に捉えています。

    身勝手に思えたお姉さんが、父に送ったお金に父親と姉との深い愛情を感じさせます。

    姉が去って4年が経ち何時しか新しい命と一緒に人々は姉達を優しく見守るようになります。

    短編の記事にも関わらず深く家族の哀愁を表現して頂きました。

    有り難う御座います。

    それでは今回の検収をこれにて完了と致します。

    次回の投稿記事も楽しみにお待ち致します。

    井上保夫

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