不器用な男性から突然プロポーズ!純粋な彼のアプローチの末に . . . 。

プロポーズ

「僕と結婚してください!」

それは本当に突然のプロポーズでした。

理系の専門職に就いていた智花は仕事人間。

昔は何人かの男性ともお付き合いをしたこともあった智花。

しかし5年前、相手の浮気が原因で別れて以降恋愛とは距離を置き、ただがむしゃらに仕事だけをする毎日。

そしてあっという間に30代も後半に突入。

(もうこのまま結婚せずに一人なのかなぁ……。)

なんて、薄々感じていた矢先の出来事でした。

「ちょ、ちょっと待ってください!いくら何でも急すぎませんか!?」

社員食堂の片隅で一人ゆっくり昼食を食べていた智花。

口に入れていたものをこぼしそうになりながらも智花は慌てて、目の前で頭を下げる男性にそう言いました。

彼は同じ職場で研究員として働いている秀明。

彼は肩も強張り若干声も上ずっていて、どう見ても緊張している様子。

冗談でやっているようには見えなかったため、彼の好意を無下にするわけにもいかず、智花はなんと返事をしたらいいか分からないまま沈黙が流れてしまいました。

「それなら友達からでも……。」

沈黙が耐え切れなくなったのか、秀明のほうからそう提案しました。

「え、あ、はい……。そうですね……。」

恋愛にも、目の前の秀明にもまったく興味のなかった智花。

しかし、あまりに急な展開に頭が混乱してしまい、咄嗟に友達からならいいかと返事をしてしまったのでした。

場違いな二人

(なんでこんなことになっちゃったんだろう……。)

次の日の夜、智花は秀明とある高級レストランにいました。

お互いを知ろうと秀明に“友達として”連れてこられたレストラン。

(これじゃカップルのデートみたい……。)

智花にとってそこは普段行き慣れない場所。

その高級感がどこか自分には場違いな気がして、智花は緊張が抑えられません。

しかしそれは秀明も同じだったようです。

「実はこういう所初めて予約したんです……。智花さん、こういう所がいいかなって。」

(全然よくなーい!むしろ緊張するからー!)

心の中で叫ぶ智花。

高級な雰囲気に馴染めない緊張と、秀明と初めての食事で何を話せばいいのか分からない緊張で、“お互いを知る”どころか“お互いに緊張に耐える”という変な状況になっていました。

秀明は緊張で額が汗ばんだのかハンカチで拭い、手が震えてそのハンカチを床に落としていました。

秀明のあまりの緊張ぶりにいたたまれなくなった智花は、どうやって相手を傷付けずにお断りしようかと考えてしまいます。

その時、秀明が申し訳なさそうに智花に謝るのでした。

「実は僕女性とお付き合いしたことがなくて、今日も誘っておいてどうしたらいいか分からずずっと悩んでて。お見苦しい所ばかりお見せしてしまい申し訳ありません……。」

智花は真剣に悩みました。

本当はすぐにでも家に帰りたい気持ちでいっぱいですが、目の前で自分のために悩んでいる秀明の姿を見るとどうしても放っておくことができなかったのです。

一口水を飲んでから、智花は口を開きました。

「今日はひとまず落ち着きましょう。また日を改めてお話しませんか?」

秀明は「はい。」と頷き、その日の“場違いな二人の初デート”は終わったのでした。

二回目の“初デート”

仕切り直して後日。

公園でも散歩しながらお話ししようということで、智花と秀明はチューリップの咲く緑地公園を歩いていました。

高級レストランの時と違い、暖かい日の光や草木が風でなびく音、小さい子供たちの遊ぶ声を聴いていると、お互いにリラックスして会話することができました。

最初は「いい天気ですねー」とか「お花綺麗ですねー」といった、本当に他愛もない会話でした。

しかし時間が経つにつれて話にも花が咲き、いつの間にか二人が最初に感じていた緊張感もなくなっていました。

緊張の解けた秀明は意外とおしゃべりで、智花は秀明にとても物知りで面白い人という印象を受けました。

「実は智花さんのことは一目惚れだったんです。ずっと声かけたかったんですけど、いざ話しかけようと思ったら緊張のあまりああいう風になってしまって……。」

少し照れながら言う秀明。

「そうだったんですね、私もびっくりして緊張しちゃいましたよー(笑)」

お互いに笑いながら接しているうちに、智花は今の自分がとても自然体でいられていると気づきました。

(この人、変わってるけど結構いい人かも……。)

最初は秀明に対して良い印象を持てなかった智花でしたが、話していくうちに秀明の純粋な面が愛おしく感じてしまったのでした。

二回目のプロポーズ

「改めて、僕と結婚してくれませんか?」

それから数日も経たないうちに智花はまた秀明にプロポーズされていました。

相変わらず突然やってくる秀明。

しかし、その不器用なところも彼らしい面白い一面として、智花は受け入れることにしたのです。

(私が支えてあげないと(笑))

それは初めて声をかけられてからたった2か月の間に起きた出来事でした。

 

 

osako著

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