予期せぬ妊娠

私の旦那はバツイチだ。
彼には前の奥さんとの間に、男の子が一人いる。
彼は24歳の時に、彼女が妊娠して結婚していた。
いわゆるデキ婚だ。
これは私が旦那から聞いた、前の結婚の失敗談である。
当時旦那は、都内のクリニックでリハビリの仕事をしていた。
そこで知り合った患者さんに、親戚の子を紹介されて付き合い始めていた。
特に結婚までは考えていなかったようなのだが、付き合っているうちに子供ができてしまった。
彼女はまだ20歳だったという。
旦那は元来優しい性格なうえに田舎育ちの世間知らず。
当時まだ若かったので、考えが甘いところもあったのだろう。
一方、彼女は中学卒業後、高校に進学したようだが続かずに中退、まともな仕事にもつかずにアルバイトをしながら親元に住んでいたという。
旦那は彼女から子供ができたと聞いたとき、まだ結婚は早いと考えたそうだ。
しかし、彼女は産むと主張した。
彼女に流される形で、二人は結婚した。
よく考えれば、なんという優柔不断なのだろうか。
その優柔不断さが、結果として息子を母親から引き離すことになったのだから。
結局、旦那は彼女と結婚し、彼女の親の住んでいる団地の中に部屋を借り、結婚生活が始まった。
精神的に若すぎた二人

結婚後、男の子が生まれ、生活は順調にいっていた。
妻は子供をとても可愛がっていたし、はじめの1年は問題なく過ごしていたようだ。
しかし、子供が1歳をすぎたころから彼女は変わってきた。
旦那もまだ若かったが、妻もまだ結婚するには精神的に幼過ぎたのだろう。
だんだんと、食事を実家で取るようになり、子供を親や旦那に預けて飲みに行ったり、遊びに行くなど、出歩くことが多くなっていった。
旦那はというと、仕事が忙しく、相手ができないこともあり見過ごしていたという。
それでも休日には子供を連れて、遊びに行ったりと面倒も見ていたという。
時には夜遊びに出た妻の代わりに、夜泣きする息子をあやすために散歩に出たりもしたという。
心の中では、親に頼らずに過ごしてほしいと思いながら、彼女の実家で食事を摂る日々が続いた。
おそらく彼女はまだ若かったうえに、思いがけず子供ができてしまったため、まだまだ遊び足りなかったのだろう。
義父母はそんな状態が申し訳ないと思っていたのか、旦那には優しかったという。
しかしある日、彼女は息子を連れて突然姿を消したという。
旦那には何が何だかわからなかったそうだ。
行くえ知れずの妻

突然妻が姿を消し、戸惑った彼は、義父母のところを訪れた。
妻は実家にも戻っていないようだった。
彼の直感で、妻には男がいると感じたという。
それまで度々飲み歩いていたことや、もともとの性格から感じたのだそうだ。
その後、義父母のところには連絡があったようだが、居所はわからないまま時間が過ぎていった。
旦那はそれでも待ち続けていたという。
数か月後、彼は妻の居所を突き止めた。
旦那はちょっと霊感が強いところがあって、ある時、あるアパートをみて、そこに妻がいることを直感したのだという。
しばらく様子を見ていると、妻がそのアパートに出入りしていることが分かった。
彼は義父母を連れてそのアパートへ向かった。
中には、男性のワイシャツ1枚の妻と息子がいた。
義父母は孫を自分のところに連れ帰った。
離婚までの道のり
旦那は子供のことも考え、復縁することを考えたのだそうだが、彼女は離婚を望んだ。
もちろん妻の両親も復縁を望んでいたそうだ。
離婚に向けての話し合いをしている間、息子は祖父母のもとで過ごした。
2歳になるかならないかの子供は、会わないでいれば父の顔など忘れてしまうのだろうが、義父母は孫に父親の写真を見せて「パパだよ」と教えてくれていたそうだ。
久しぶりに彼に会った息子は、すぐに「パパ!」と言ってくれたのだそうだ。
それまでは、親権を妻に渡してもいいと思っていた旦那だが、その一言で、子供の親権は自分が持つと決めたそうだ。
離婚の話し合いはもつれ、裁判になり、決着まで1年かかった。
しかし、もともとが妻の浮気が原因であり、彼女は経済力もないため、最終的には息子の親権は旦那に委ねられた。
どうして彼女が浮気をして、離婚を望んだのか、私は彼女に会ったことがないので知る由もない。
私は、旦那の言い分だけしか聞くことがないが、すべて彼女が悪かったのか?旦那にも非があったのではないか?と思ったりもする。
裁判に勝って息子の親権を得た彼だったが、息子を実家の両親に預け母親には合わせないようにしていた。
その後私と出会い結婚、私は義母としてその息子を育てた。
幸い義息子は、母親を憶えていなかったため、すぐに私になついてくれたが、人の子を育てるのは、それはそれで大変だった。
私は旦那からの一方的な話しか聞けないため、元妻の言い分というのはわからないが、話を聞く限りでは相手が不誠実である。
男女のことは他人にはわからないため、私が口出しをすることではないが、かわいそうなのは息子だ。
祖父母は彼をとても可愛がり、旦那の妹たちも、親代わりと思って彼をかわいがってくれた。
しかし、息子はきっとどこかで本当の母親を求めていたに違いない。
一番に考えなければいけないのは、子供のことであったはずなのに、自分の欲望のまま動いてしまった彼女を、旦那はいまだに許していない。
maiko著









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