昼休みの暇つぶしからの出会い

その子の名前は「かえで(仮名)」といった。
初めて見かけたのは俺が高校1年生の秋、
転校して約5日目ぐらいのときだった。
まだ友達がいなかった俺は、
昼食を食べ終わるとそのままの食堂のテーブルに座って時間を過ごしたり、
ぷらぷら校内を散歩したりして時間を潰していた。
その日、俺は図書館で時間を潰すことにした。
彼女は俺が座った二つ前のテーブルに座っていた。
「スラムダンク」というバスケットボールの有名な漫画のヒロイン「赤木晴子」に似ていた。
小っちゃいし、清楚(せいそ)だし、めちゃくちゃかわいかった。
主人公の桜木も惚れちゃうわけだ…笑
その日は、
「かわいいな~、先輩なのかな?」
とチラチラ見ているうちに昼休みは終わった。
それはさておき、図書館は静かだった。
人も少なかったから時間を潰すには最適の場所だった。
それからというもの「昼休みの昼食後は図書館に行く」というのがだんだん日課になった。
次の日のお昼休みも図書館に行った。
また同じ席にかえでは1人で座っていた。
俺も前日と同じ席に腰かけた。
その時、
「こんにちは!昨日もいましたよね!」
と話しかけていれば早い時期に友達になれたかもしれなかった。
それをしなかった為に、めっちゃ気になる子としてその1年は終わった。
奇跡が起こった!
2年になったときすごいことが起きる。
ずっと先輩と思っていたのに、同じクラスになった。
しかもとなりの席!
同じクラスになるのもすごい偶然なのに、何このピンポイントの「隣の席」
マジで奇跡だ!って思えた。
「この人と付き合え」と天から声が聞こえる様な気がした。

最初は本当に緊張した。
目が合うだけでドキドキして、平常を装うのが大変だった。
最初に話しかけたのがかえでじゃなかったら、
ヘタレな俺から話し掛けるってことはほぼ無かったかもしれない。
「図書館にいつもいるよね」って
優しい声だった。
「小っちゃい」
「清楚」
「めちゃくちゃかわいい」
のステータスに加えて
「優しい声」はヤバすぎた!
その日、そうとう舞い上がって、家に帰ってからも次の日に学校へ行くのが楽しみだった。
少しずつだけど会話も多くなっていって、
気が付くと授業中までお喋りをしたり、
家に帰ってからも電話をするぐらい仲が良くなっていた。
デートにも誘いたかった。
けど、彼女の家は校区外でバスで通っていた。
遠慮して誘いだせなかった。
免許取ったら迎えに行ってドライブで海に行きたい!とか
カラオケもいいね!とか
一緒にビデオとか借りて観たい!とか
妄想をするとキラキラしていて掴める光だと思っていた。
そして幸せだった。
突然の告白

冬休みに入ったある日、いつものように電話をしていた。
切り際に「今度言いたいことがある」と言ったら。
何かを悟ったのか「今、言って欲しい」と言われた。
心の準備もできてないのに告白することになった!
意を決して「かえでのことが好き」と言った。
電話越しに「ごめんなさい、○○(苗字)君の気持ちには答えられない」と言われた。
まさかの返答だった。
しかも苗字で呼ばれた・・・。
つかめると思っていた光。
それは妄想に終わった。

冬休みが終わるとぎくしゃくした。
二人の会話も、電話もなくなった。
告白したことをとても後悔した。
まぁ席替えで隣ではなくなったこともあり、
顔を合わせなくて良いのは救いだった。
最後の会話

2年生の終わりごろに久しぶりに話をした。
何故か知らないけど、キウイフルーツの話になってたのを覚えている。
「おれキウイフルーツ好きだったんだけど、中3のときにアレルギーになって食べられなくなったんだよね~。」と言ったら
「好きなものが食べられなくなるっていやだね?」
って言われた。
「うん、そうなんだよw」と答えた。
相変わらず優しいな思った。
最後に交わした会話は以前と変わらない楽しい会話だった。
そして、俺が好きってことを知っていながら告白させたということに気付いた。
3年になると別のクラスになった。
友達ができてお昼休みに図書館に行かなくなった。
たまに学校でかえでを見かけてもアイコンタクトするぐらいで結局そのまま卒業した。
片想いは無駄な時間
「片想いをするのは無駄な時間」
とよく聞く。
フラれたとしても
「叶わぬ恋を諦める」
という選択肢を選ぶのは簡単にはできなくて、
とうとう高校のときに他の人を好きになることはなかった。
それでも俺にとってはこの長い片想の時間は幸せだったし輝いていた、
そして一途だったなと今でも両目を細めて思い出す。
129著









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