夢、恋愛、仕事、一体何をとる?指輪にこめられた想いとは・・・

「ヒトミって色でいうと金色みたいだね なんだか輝いてて俺好き」

「もうーそれって告白?」

 

私はヒトミ 文学部の大学一年生

最近サークルで知り合った同じ一年生のタカヒトから頻繁に連絡がきて大学でも会う事が増えていた。

そしてこんな調子でいつもあそこが好きとかここが好きと言いたい放題言われていた。

 

私はというと知り合ったばかりのタカヒトの事は一緒にいて楽しい友達だとは思っていたが恋愛感情というものがわからなかったし多分タカヒトに恋をしていなかったと思う。

 

毎日告白まがいの事を言われていたがある時真剣にタカヒトから告白された。

 

困った私は少し待ってと伝えた。

 

するとタカヒトは遊園地デートへ私を誘い色々なアトラクションを楽しんだが最後に私たちは願いの叶うゴンドラに乗った。

 

タカヒトは言った。

 

「ヒトミの願いって何?」

「私は作家になること お願いします どうか どうか タカヒトは?」

 

「俺はヒトミの夢が叶うこと」

「えっ」

 

私は夢を小さい頃から大切にしていた。

その気持ちを大切にしてくれた。

応援してくれると言われたと思った。

私はなんだか自分の気持ちの高ぶりを感じた。

遊園地で駄目押しでもう一度告白され私は遂にOKしてしまった。

 

 

それからタカヒトとは本当に色んな所に行った。

北海道 広島 大阪 それに海外にも行った。

私の部屋のコルクボードやアルバムはタカヒトとの写真でいっぱいだった。

 

サークルでも旅行に行くことがあった。

山梨に行った時の事だった。

サークルでは夜になると合宿所で宴会を開くのが通例だった。

私は大学生にありがちなお酒の飲み過ぎで酷く酔っぱらってしまった。

 

「大丈夫?ヒトミ」

心配して駆けつけて介抱しようとするタカヒトに私は

 

ピシンッ

 

酔った勢いでなんと手をあげてしまった。

 

「飲み過ぎたんだね ヒトミ 俺がついているから」

それでもタカヒトは優しく私を抱きしめる。

 

しかし更に最悪な事が起きた。

私はタカヒトめがけて嘔吐してしまった。

 

目が覚めると私は女子の大部屋で寝ていた。

タカヒトの姿はない

 

 

そのままサークルの旅行も終わり次の日はなんとホワイトデー

もちろんタカヒトと会う約束をしていた。

サークルの仲間から事の一部始終を聞いた私は青ざめていた。

 

「私振られに行くんだな・・・」

 

JRに揺られながらそんな事ばかり私は考えていた。

 

到着すると真剣な顔のタカヒトがいた。

 

もう駄目だ

 

私が思ったその時だった。

 

「ヒトミこれを受け取って」

 

タカヒトが差し出したのは金色に輝き光る指輪だった。

 

「ずっと一緒にいようって刻印してあるから」

 

タカヒトの言葉を聞いて私は泣いてしまった。

そしてなんて心が広い人だろうとタカヒトを今までと比べものにならない位大事な人と思うようになった。

 

 

それから私とタカヒトの仲は一層深まり大学を卒業して就職し結婚を意識するようになった。

 

私はというとせっかく夢の為に文学部に入ったのに大学の仲間たちに流されて遊んだりアルバイトをしたりして大学生活を過ごし作家になる為の賞なんかには応募出来ず普通に就職活動をして普通にOLになっていました。

 

ある仕事の休日タカヒトの家に二人でいる時そんな私を見かねてタカヒトは尋ねます。

「ヒトミ作家になる夢はどうしたの?」

「えっ今は今の仕事に手いっぱいで・・・まだ夢を諦めた訳じゃないけど・・・いつかなれたらいいなって思ってるよ」

 

タカヒトの顔色が変わる

「そんな曖昧な気持ちなの!?」

「そんな・・・」

タカヒトは私を睨みつけて言う

「ヒトミ 夢の為に何もしてないじゃないか!そうだったら もしヒトミが会社を辞めて作家を目指すって言っても俺ヒトミの事養いたくない!」

 

その言葉だけは許せなかった。

あの時遊園地で私の夢を応援してくれると思ったのに

信じた自分を馬鹿だと思った。

いくら賞に応募してこなかったとはいえ夢を侮辱されたとさえ思った。

 

私はタカヒトの家を出て走った。

近くには川があった。

 

「これを捨てればもう元に戻れないはず」

私は左手薬指の金の指輪を川に投げた。

指輪は川底へ沈んでいった。

 

後日タカヒトは泣きながら私に言った。

「ヒトミに夢が大事って気づいて欲しかっただけなのに・・・」

 

私はしてはいけない事をしてしまった。

 

夢を諦めきれない自分を否定されたとはいえ私にとってタカヒトとの思い出は多過ぎた。

私はタカヒトの事を嫌いになれずにいた。

 

しかしタカヒトは違った

タカヒトにもう何を言ってもしても無駄だった。

 

全く同じ新しい指輪をしてみせても駄目だった。

 

あの川底の指輪は今も光っているのだろうか

わからない。

でも私は会社を辞め作家養成学校に貯金を使って入り直した。

私の本当の物語はここから始まったのかもしれない。

 

 

yarisu著

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

コメントする

目次